平成１５年末に突如として出現した超大物候補。ハイレベル店の出店が相次ぐ札幌だが、たとえレベルは高くとも他に
似たような味の店があって推しにくい場合もあるが、当店はこれまでの札幌のどの店の味とも似ていなく、その点が札
幌のラーメンフリークが諸手を挙げて当店を絶賛する所以であろう。

ここの基本となるメニューは４つ。塩、味噌、醤油の３味に、平日１日１０杯限定の地鶏塩が加わる。私は４度訪問しそ
れぞれ食したが、全ての味において当店がフリークから高評価を受けることに首肯できた。未食の人には是非時間を
かけて４味とも食してもらいたいが、もし４味の中でどれか１つを挙げろと言われれば通常の塩を推したい。

豪放磊落そうな風貌の店主とは裏腹に、見た目も味も端正で繊細な印象の塩ラーメン。長年小料理店を経営していた
という店主の経歴ゆえか。人工物は極力排除しており、天然の旨みを存分に味わえる仕上がりとなっている。厳選され
た天然素材たちが織り成す巧緻な味わいのスープ、これに小麦の風味を打ち出した細縮れ麺がぴったり融合し、喉元
を通り過ぎるころにはまさに夢心地といった感覚に入る。ほのかな貝類の風味が心地よい余韻を残し、後味まで爽快さ
が持続する。チャーシューの肉質も最上級のそれ（燻煙の風味は好みが分かれるかもしれないが）。

腰が低く丁寧な接客といい、既に札幌ラーメン界の模範店の１つとなったと言っても過言ではない。

（最終実食日　平成１６年３月１３日）